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私の「こだわり」の原点―日本美容皮膚科学会と医局50周年

先週末は、日本美容皮膚科学会総会・学術大会に参加するため、仙台を訪れました。まだ梅雨明け前の仙台は連日雨模様でしたが、涼しく過ごしやすい気候でした。

私は、「シミ advance」というシンポジウムに登壇しました。このシンポジウムでは、4名の演者が、日常診療で実践しているシミ治療について、それぞれの「こだわり」をお話ししました。私のこだわりは、ピコ秒レーザーに搭載された複数の波長の特性を生かし、シミの種類や肌の状態に応じて、照射法を工夫しながら治療することです。

シミ治療には、ピコ秒レーザー以外にも、様々なレーザーやIPLなどのデバイスが用いられます。さらに、ケミカルピーリングやマイクロニードルRFなど、皮膚環境や背景病態を整えるための治療まで含めると、その選択肢は無数にあると言っても過言ではありません。つまり、シミ治療は、決められたマニュアル通りに進められるものではありません。患者様一人ひとりのシミや肌の状態をどのように捉え、数ある選択肢をどう組み合わせるか。それは、治療にあたる医師の経験や考え方、そして「こだわり」によって大きく変わります。

シンポジウムの中で、根岸先生がおっしゃった言葉が印象に残りました。「デバイスを単に使うことなら、比較的すぐにできると思います。しかし、それを使いこなすことは全く別です」まさに、その通りだと思います。デバイスを導入し、決められた手順で照射することと、その特性を深く理解し、病態に合わせて使いこなすことには、大きな違いがあります。

学会の前には、私の古巣である東京女子医科大学形成外科学教室の50周年記念祝賀会に出席しました。50年という歴史は、形成外科の教室としては非常に長いものです。

写真は、私が入局した当時の主任教授であり、現在は名誉教授である野﨑幹弘先生を囲んで撮影したものです。野﨑先生は、まぎれもなく私のメンターです。形成外科医として、そして一人の社会人として、仕事をすることの本当の楽しさを教えてくださったのが野﨑先生でした。

研修医の頃は、手術はもちろん、外来診療も自分一人でできるわけではありません。いわゆる雑用をこなすことも、研修医の大切な仕事でした。せっかく医師になったのに、医師らしい仕事が何もできていないように感じていた時期もありました。そんなとき、野﨑先生がこうおっしゃいました。

「仕事は面白おかしくするものだよ。どんな仕事でも、自分なりに工夫して取り組めば楽しくなるものだよ。ただこなしているだけなんてつまらないじゃないか」

この言葉を聞いて、私の仕事に対する考え方は大きく変わりました。それ以来、私は、どんな仕事も自分なりの目標を持って取り組むようになりました。自分で考え、工夫を重ね、「これは自分だからこそ成し得た」と思えたときの喜びは、何ものにも代えがたいものです。

もちろん、壁にぶつかったり自信を失くしたこともありました。ある時、弱音を吐いた私に、いつも穏やかな野﨑先生が、少し強い口調でおっしゃいました。

「これから先何十年も、一人の医師として生き抜いていくためには、もっと強くならなければいけない」

その厳しい言葉に、はっと目を覚まされたような気がしました。あれから20数年の歳月が経ち、野﨑先生の言葉の重みを、今改めて実感しています。振り返れば、私の心の中にはいつも野﨑先生がいらして、その懐の深さに守られながら仕事を続けてこられたように思います。

今回の学会でお話しした私なりのシミ治療への「こだわり」も、その原点をたどれば、野﨑先生から教えていただいた、どのような仕事にも自分なりの工夫を重ねる、という仕事への向き合い方に繋がっているのかもしれません。

私を形成外科医として育ててくださった東京女子医科大学形成外科学教室と野﨑先生に、この場をお借りして、心より感謝申し上げます。