肝斑は、思春期以降の女性(まれに男性)の顔に多くみられる左右対称の褐色調の色素斑です。頬部に多いですが、額や上口唇などに現れることもあります。左右対称でない場合もあります。しみやADMというあざと混在していたり、非典型例では診断がつきにくい場合もあります。様々な要因で色素斑の濃さが変動するといわれています。通常のしみと同様に、紫外線に当たることや女性ホルモンの影響を受けますので、日焼けをしたあとや、妊娠時、経口避妊薬(ピル)内服中、更年期などに悪化することがあります。また、原因のひとつとして、慢性的な物理的刺激(こすり過ぎ)による表皮のバリア機能の破壊が考えられています。洗顔やクレンジング、化粧、タオルで顔をこする、うつぶせで寝るなどの行為によるものです。
治療法としては、まず、日常生活で物理的刺激を与えないように十分注意してください。泡でやさしく洗顔した後は、保湿を十分に行ってください。通常のしみと同様紫外線をさけることも大切です。当院では以下の治療を段階的に組み合わせて行います。
【肝斑の治療法】
① 内服(トラネキサム酸、ビタミンC)
② 外用(美白剤)
③ ケミカルピーリング(フィチン酸・アスコルビン酸)、エレクトロポレーション(トラネキサム酸)
④ Wピコトーニング
通常のしみに比べ治療期間が長くなります。6ヶ月~1年を目安に治療しますが、完治は難しい病態ですので、治療の目的は色の薄い状態にコントロールすることととらえてください。