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‟自由診療ビジネス”の闇

何とも恐ろしいタイトルは、クローズアップ現代 – NHK5月29日放送の内容。正確には「追跡 ‟自由診療ビジネス”の闇 相次ぐ美容・健康トラブルの深層」です。ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。

私も驚いたのですが、最近都市部を中心に一般社団法人のクリニックが急増(5年間で6倍)し、その6割以上が美容整形や脱毛、薄毛治療、医療ダイエットなどの自由診療の美容クリニックだそうです。なぜ一般社団法人が問題かというと、一般社団法人は医療法人と違い、登記のみで比較的簡単に誰でも開設できます。監督官庁もなく、医療法人にかけられているさまざまな規制もありません。よって医師以外の異業種の方が参入し、医療倫理や安全よりも 営利を最優先に運営することが多く、トラブルが後を絶たないそうです。

もちろん管理者となる医師は必要ですが、勤務実態のない「名義貸し」も横行しており、当然ながら美容医療の経験は問われません。皆さんは、医師であれば(麻酔科以外の)診療科目は自由に掲げられることをご存じですか?例えば私は、形成外科、皮膚科、美容皮膚科の研修しか積んでいませんが、美容外科はもちろん内科や眼科を標榜しても問題はありません。つまり、治療を行っている医師も、美容医療の充分な経験がない可能性も否定はできません。実際に、レーザー後にやけどを生じたり、治療がうまくいかなかったときに、担当医から「うちでは診れないから」と言われて当院を受診する患者さまも少なからずいらっしゃいます。

美容クリニックを受診する際のチェックポイントとして、まず、ホームページに医師の名前や写真が載っているかを挙げていました(確かに院長の名前さえも出ていないクリニックが時々あるので以前から不思議に思っていました)。そして、次のポイントは、医師の経歴や専門性を確認することで、美容医療に関わる学会に所属しているか、美容外科の場合は形成外科専門医を取得しているかです。そのほか、SNSの情報を鵜呑みにしない、承認品を使用しているか、値段が安すぎないか、医師がカウンセリングをしているかなどを挙げていました。

この問題はもちろん行政や医療側が変わっていかなければならないことですが、利用者側にも、クリニックと医師を慎重に選択することが求められます。今後、一日も早く不要なトラブルがなくなり、今の美容医療のブラックなイメージが払拭されてどなたでも安心して利用できるようになることを、美容医療に携わっている一医師として切に願っています。

写真は最近お気に入りの鳥さん🐓🐓